本当に「CDが売れない時代」なのか

遅くなりましたが、日曜の激ロックに来て頂いた多くの方々、本当にありがとうございました。そして色々な事情があって来れなかった方も、いつも応援ありがとうございます。当日は物凄い盛況でしたね。恐るべし激ロック。

 しかしNEW BREEDはひと息付く間もなく、レコーディングや次のライブに向けての準備を進めています。次のライブは今週末(カレンダー的にはもう明日ですね)、7/31に新宿Antiknockで、激ロックでも一緒だったFear from the Hateのツアーファイナルに参戦します。この日も大変な盛り上がりになりそうですので、是非遊びに来てください!

 さて、今日は気になったニュースを一つ。個人的には相当衝撃的な内容でした。

音楽業界とインターネットの関係

 

 基本的にこれまで欧米では、まずアルバムをリリースし、そのアルバムからシングルカットを繰り返してラジオのエアプレイを稼ぎ、話題を継続させてセールスを保つ、というのが一般的なCD販売のビジネスモデルでした。シングルとはアルバムを売るための言わば撒き餌であり、本来コアなファンしか買わないものだったのです。
 しかし、もはやこのビジネスモデルは完全に崩壊してしまいました。もう3年も前にシングルはアルバムの売り上げを追い抜き、2009年のデータでは既に3倍もの差が付いています。
 そして個人的に一番驚いたのがこの部分。

昨年リリースされたアルバムは10万タイトル。その中で1枚しか売れなかったのがなんと1万7000タイトル。セールスが100枚以下なのは8万1000タイトル以上。

 全てのアルバムの中で、8割以上が100枚も売れてない、そして2割近くはたったの1枚しか売れてないという衝撃的事実(これはビルボードの集計に加算されたものだけと思われます。ライブ会場での手売りなどではもう少し多く販売されているはずです)。しかも、ビルボードはオリコンとは違って、iTunes Storeなどのデジタルダウンロードも集計しています。その上でこの数字は驚きです。

 2010年は、アメリカで初めて、デジタルダウンロードが物理メディア販売を上回る年になると予測されています。CDのような物理メディアは、盤のプレス代や流通のコストがかかるため、シングルよりアルバムの方が1曲あたりの単価が小さくなりますが、それらが一切かからないデジタルダウンロードでは、限界費用は完全にゼロとなり、アルバムとシングルの1曲あたりの単価の差もゼロにする事ができます。そうなればアルバムの「お買い得感」は薄れ、必然的にアルバムの売り上げは下がっていく事になります(上記リンク先のShliverman氏も、シングルの値段を上げ、アルバムの購入が消費者にとって大きなディカウントとなるようにするべきだ、と主張しています)。

 そういう状況を踏まえた上でも、このアルバム売り上げの低さは、単純に音楽の質が低下し、売れる見込みも可能性もない音楽が粗製濫造されていると言われても仕方ないと思います。リスナー自体が、アルバムへの興味自体を失っているとも言えます。

 しかし今の日本では、まだまだアルバムの市場規模は大きく、着うたなどのデジタルダウンロードを含めても、音楽関連の売り上げの6割をCDアルバムが占めています。しかも、世界一速く、世界一安いブロードバンド回線が敷かれ、世界有数の強力な3G網が整備されている国にも関わらず、わざわざ物理メディアとしてのアルバムを買ってくれているのです。この状況はミュージシャンからすれば本当に嬉しい事で、CDが売れない売れないと言われる時代ですが、リスナーが音楽に対する興味を失っていない事は、実に恵まれた事だと思わなければなりません。

 どこまで行っても音楽とは嗜好品であり、無くなっても誰かが死ぬわけではありません。だからこそ、その貴重なお金を払って買ってくれた人に、「損した」とか「ハズレだった」なんて思いはさせたくないんです。NEW BREEDのニューアルバムは今秋に発売予定ですが、それまでに出来る限りの努力をして、「買って良かった」と思ってもらえるような最高のアルバムを創りあげたいと思います。

 そんな事を考えながら、スタジオで一人黙々とPro Toolsでトラックを書き出す作業をしています。しかし何でPro Toolsは実時間書き出ししか出来ないんだ・・・。